Fsの独り言・つぶやき

横浜市在住。一応理系卒。音楽・美術・文学・政治などをつぶやく。60歳定年退職。膝・腰痛で登山を65歳で断念。現在は街中ウォーキング。

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

香月泰男のシベリア・シリーズ(10)

雨(1968) 「草原というよりは砂漠に近いホロンバイル平原に降る夕立。砂塵を打ち沈める激しい雨足が遠ざかる時、戦争のむなしさを訴えるかのように、太陽は灰色に見える。」 これも私の好きな絵である。中央より下にある黒い雲と黄色の砂嵐、そして横殴りの…

香月泰男のシベリア・シリーズ(9)

雲(1968) 「山口県西部第四部隊の錬兵場は、雪舟が住んだ常栄寺の側にある。画人雪舟が愛した自然の中で、今の画家は人殺しの訓練を強いられる。人間性を奪われる姿は、錬兵場におかれた被甲(ガスマスク)のごとく、無機物化されたものと見えた。しかしガラス…

本日の俳句(100730)

本日は、雨のち酷暑。陽射しにあたるのは嫌いではないが、歳とともに発疹が体中にできるようになった。日中のウォーキングができずにさびしいものがある。強い陽射しをものともせず闊歩する若い人々がうらやましい。 本日の俳句 ★蜘蛛の巣の微かに揺れて風通…

「私の日本語雑記」(中井久夫著)

本日の読了は、「私の日本語雑記」(中井久夫、岩波書店)。 精神科医であると同時に現代のギリシャの詩人の翻訳でも知られる中井久夫氏の日本語論、というよりも言語論。月刊「図書」の連載の単行本化である。 最後の方、「英語が世界語となれば差異を求める…

香月泰男のシベリア・シリーズ(8)

鷹(1958) 「部隊に迷い込んで私に飼われた隼は、紐を喰いちぎって或る日逃げた。自力で自由をかちとったことを羨み、飛ぶ羽を持たぬ身に望郷の念は更にかきたてられた。飛翔力の強さを表現するために、鷹に変えて描いたものである。」 前回27日の雨から1…

本日の俳句(100729)

本日は梅雨明け以降の初めての本格的な雨、降れば土砂降り。梅雨に戻ったような鬱陶しい雨である。風の音が嵐のようだ。 本日の俳句 ★さるすべり面影あまたに庭に満つ ★この街を傾け尽くさん夏の雨 ★野も山も風の形に夏嵐

コメントへの感謝と本日の俳句(100728)

三毛猫の子猫さんからのコメントをいただき、初めて仏教の「十善戒」というものを知った。 私は、モーゼの十誡、キリストの山上の垂訓とそれに続くモーゼの十誡に対するキリストの厳しい評価は、幾度か読んだことがある。しかし「十善戒」は初めての言葉で、…

古風

本日は、久しぶりにフランクの交響曲ニ短調を聴く。ジュリー二指揮・ウィーンフィルの1993年版。同梱は交響的変奏曲。5年前の購入だが、2回目。新鮮な感じがする。 初演当時、聴衆からも拍手は少なく「閃きがなく、時代遅れ」と不評だったと解説に記載…

ブリューゲル展の感想にならざる感想

ブリューゲルの展覧会で、7つの罪源と7つの徳目がシリーズ物としてあった。 大罪は、貪欲・傲慢・激怒・怠惰・大食・嫉妬・邪淫、徳目は剛毅・賢明・節制・正義・信仰・希望・愛徳 いかにもキリスト教しかもカトリックらしいものが並んでいると思われるが…

香月泰男のシベリア・シリーズ(7)

雨(1947) シベリア・シリーズの第1作。作者は「5月過ぎのホロンバイル。風の強い日は防塵眼鏡が必要な程の砂嵐であった。黄色い空を一掃するような夕立が終わると、わだちの跡の水たまりに、のぞき始めた青空が映って見える。大地があり、生きものがいれば…

ブリューゲルの版画

ブリューゲル展で購入したカタログを2日間じっくりと見たが、どうも絵としての感動が私には湧かなかった。解説によれば20年ほど前に見たのは、1989年のブリヂストン美術館でのやはり版画展であった。当時の記憶もあいまいである。 私の鑑賞力の無さ、…

本日の読書と俳句(100725)

先日購入した「エデンの命題」(島田荘司 光文社文庫)読了。しかし島田荘司の推理小説は好きだが、この手のものはどうもピンとこない。 作者本人が是としているか否かは、まったく別問題として、世界がごく少数者の陰謀によって動かされている、というような…

香月泰男のシベリア・シリーズ(6)

海拉爾(ハイラル)(1973) 「氷の塊のようになった真冬の海拉爾の街の底からのぼる煙に、人間家族の温もりを感じた。私はほかには何もいらぬ。絵が描けて家族とともにいられるのならば、その煙がうらめしかった。」 冬の夜と思われる街のところどころのさびし…

「ブリューゲル版画の世界」展

本日は急に思い立って、渋谷の東急Bunkamuraザ・ミュージアムまで「ベルギー王立図書館蔵 ブリューゲル版画の世界」展へ。 ブリューゲルの不思議な絵はいつ見ても惹かれるものがあるものの、理解はできない、解説抜きでは到底何の寓意だかわからないので、そ…

昨日の読書と俳句(100724)

昨晩は本を島田荘司の推理小説を片手にもったまま、うつらうつら、気付いたら0時半を過ぎていて、そのまま就寝。久しぶりに素直な睡眠となった。つまり読書はたった1頁ほど。 昨晩と今朝の俳句 ★噴水の変わらぬしぶき変わるかげ ★噴水の届かぬ虚空蝶の道

本日の読書と俳句(100723)

もともと働かなくなっている頭が、この体温に近い暑さでさらにはたらかない。 このようなときは、推理小説を読むに限る、というのは、推理小説作家には大変失礼な言い方とは思うが、お許し願うしかない。犯人を推理するということもしないで、推理小説を読ん…

香月泰男のシベリア・シリーズ(5)

別(1967) いつものとおり作者の言葉から。「入隊3ヵ月後、満州に向け下関から出発した。僅かな肉親が送るその首途が、4年余にわたる戦争、抑留への道に繋がっていた。実際には日の丸一本振られたわけではない。しかし個人の意志が、国家体制によって無視さ…

連続講座「中国文明の誕生」(東京国立博物館・3日目)

昨日は連続講座の最終日。東博の三笠景子氏の「技の誕生二 陶磁器 白い器を求めて」と題した講演。 陶磁器については知識はほとんどないので、聞くことすべて新しいことばかり。陶磁器の基本的な知識があれば、展示品を見る眼も随分と違うとは思ったものの……

香月泰男のシベリア・シリーズ(4)

ホロンバイル(1960) 「ホロンバイルの草原で風化してゆき動物達の風化した骨を見た。戦争にしろ、他の原因にしろ、ここで死ぬようなことがあれば、私の屍は草原にこのように遺棄され、白骨化するに違いないとしばしば思ったものである。」 この絵もホロンバ…

連続講座「中国文明の誕生」(東京国立博物館・2日目)

本日の講義は、九博の小泉惠英氏の「美の誕生2 仏教美術の開花」と東博の川村佳男氏の「技の誕生1 青銅器 祭祀の器の展開」。 ともにこれは勉強になった。私の興味の方向と合致するとともに、私にとっては新しいまとめがあり、うれしい限りであった。 仏教…

連続講座「中国文明の誕生」(東京国立博物館)

本日は、3回連続の講座の第1日目。東博の谷豊信氏と九博の市元塁氏の講義。 第一講は「中国文明と王朝」と題した、初期王朝の概略で私には既知の内容の再整理として役立った。参考文献も既読。 第二講は「美の誕生Ⅰ 死後の世界を彩る品々」と題して、戦国…

香月泰男のシベリア・シリーズ(3)

朝陽(1965) 作者は「素足で走らされる朝の耐寒訓練は、初冬の日課であった。芦浦の感覚もなくなる頃、東天の闇をついて陽が昇る。それは疲労、暑さを忘れさせる程の厳粛な美しさだった。」 香月泰男のシベリア・シリーズの2割は、終戦日以前の軍隊体験を告…

暑中お見舞い申し上げます

まだ梅雨末期と思われる集中豪雨の地域もあるようですが、とりあえず暑中見舞い申し上げます。 今後もこのブログに注目くださいますようお願いいたします。 香月泰男のシベリアシリーズを始めてみたものの、いつになったら終わるかとヒヤヒヤもの。重い主題…

香月泰男のシベリア・シリーズ(2)

青の太陽(1969年) シベリア・シリーズ57点の内11点ほどは抑留前の日本軍での経験である。どちらかというとこちらのほうが、作者自身の言葉で「国家」「軍隊」を告発する言葉は鋭い。確かに抑留という事態を招いた現況であるからである。 この絵も、日本…

香月泰男のシベリア・シリーズ

朕(1970) 夕食後、ふと香月泰男のシベリアシリーズを再見したくなった。理由は特に思い浮かばないが‥。 早速1995年、横浜のそごう美術館で開催された折の「没後20年香月泰男展」を引っ張り出してきた。もうあれから15年以上経つのだ。いくつかの絵は…

さとうてるえさんのきり絵から(二度目の寄り道は花火)

本日横浜は夕方から雨が降る予想であったが、ハズレ。南に黒い雲が勢いよく北東方向へ走っていた。風も強く、まさしく黒南風の雰囲気であったが、真上の空は青空、通夜明けのように青く透き通った空であった。 一日も早い梅雨明けを祈って、

そろそろ暑中見舞いの準備かな?

昨夜は友人に近況報告の手紙を4通作成、先ほど投函。就寝が遅くなり午前中は休暇となってしまった。 この間いろいろ相談事にのってもらった友人。 他の友人には暑中見舞いを兼ねた近況報告をしなくてはならない。 何をどう表現したらよいか、悩むところだ。…

きり絵「ふるさと福島」から(12)猪苗代町天鏡閣(きり絵さとうてるえ)

天鏡閣 福島県猪苗代町にある旧有栖川宮翁島別邸をいう。本館・別館・表門は1979(S54)年に国の重要文化財の指定を受けた。 有栖川宮の別邸として1908(M41)年に建築。ルネッサンス様式を取り入れた和洋折衷。当時では極めて豪華なつくりであっ…

梅雨寒

昨日は夕刻に期日前投票。投票後、古本市をのぞいたものの収穫なし。その後、投票所傍のてんぷらと刺身の店にて夕食。 本日は、糸のような雨にひたすら休養。春の雨のような細い雨である。 (07.06) 梅雨闇の我が身のボタンの冷ややかさ 梅雨闇や記憶途…

東京国立博物館「誕生!中国文明」と記念講演会

本日は東京国立博物館「誕生!中国文明」に再訪し、あわせて記念講演会「文字の発生と歩み」(書家・新井光風氏)を聴く。 甲骨文・金文を初めてじかに見た。河南省中部の、二里頭遺跡(夏)と西周以降の遺物が中心。河南省最北部を拠点とした殷王朝(商)の遺物は…